midiとmp3をCardWirthで問て

 時間にいい気分になれるほど、音楽の果たす範囲は大きい。実際カードワースには、midiにおいて、独自フィルターがあるため、オンボードの解析結果とちがって、特異な音が鳴る。
 だからシナリオ制作者やサウンドクリエーターにいいたいことは、音をつくったDTMソフト上の観測にまかせて配布するのではなく、カードワース上の観測結果をかんぺきに知ることだ。わたしなど過去に名MIDIファイルを打ち込みし、できたものだが、それはオーケストラの強襲を表現したものだが、そのとき流行った声とはべつに、カードワースのMIDI空間では、たいした音がならなかった。
 理解がはやいとか、理解がおそいとか、どうでもいいが、カードワースのゲームともいえるべきシナリオはピラミッド型に、BGM、背景画像、キャラ画像、メッセージとできてるふしがあるが、BGMがこけるとすべてかすんで駄目になってしまう。メッセージもキャラ画像も、多少こけても大丈夫だ。狂いとして表現できるし、本人に制作をがんばってる感が伝われれば、多少まともに見てもらえる。そもそも伝説の品川コータが、それをプレイヤー側に了解されないと、まともに始動しない点だ。品川コータ制作の団地妻など見れば、おおいなるキャラデザにたいする許しがプレイヤー側にでなければ、誰もやらない酷さだが、絵に本人のノリノリ感がイタデザを越えて破局的にハレー彗星を撃ち落とすべく存在しているところがポイントだ。むしろそのマイナス点のはじまりから、伝説まで突破しちゃう点がすごいのかもしれない。しかしカードワースはどんな名シナリオにもついてくるのが演出にあった、midファイルなのだ。そしてmidはmidでも、ふつうのプレイヤーより、なにかグループASKの思惑をひしひしと感じる特殊フィルターをひいたmid幹線なのである。
 主にmidの音圧があげられるので、本当のこというと、生に、midとmp3の音源対決が出来るのが、CardWirthのおもしろいところである。
 mp3のいいところは、mid規格にない音色トラックをつかえるところである。むしろ、特殊な表現がないなら、midの音圧増しバージョンのほうがいい。古山シウの男塾をみておもうが、mid+前向き+バッキングフィージョン+本当は通常のゲーム音楽と理論がちがうなにかで、なかなかのmp3を追い払える代物がいくつもつんである。あれほどいちDTM士としてほろびた感想はなかった。CardWirthのちからでかなりmidがパンプアップするので、カードワース専用のmid師になりたい人は、古山シウ氏の男塾をみるといい。
 DTMをはじめたいという人があらわれたら、まずこういう。きみはゲーム音楽をやりたいのかい? それとも声歌の制作をしたいのか? ほんとうのはなしをすると、極めるとどちらかだよ? と。というのもふたつとも理論というか、必要とされる脳みそのタイプが違うのだ。
 ゲーム音楽は、キャラ視点を酔わせちゃいけないし、雑な意識をさせてもいけない。つねにフィールドに一体化させるガムみたいな意識をもたせないといけない。簡単にいうと、プログラムを遂行させる気だ。気にメロディはない。メロディをつくると、メロディに意識がいく。ゲーム音楽はゲーム音楽自体に目がいってはならないのだ。おむすびにつけくわえられた、やたらと自意識過剰に主張するおつけものみたいな真似はしてはならない。主張は反対側の声歌系ならしていい。意味の個性力がとわれるからだ。ゲーム音楽に意味の個性力、つまり人間力的な魅力をはきだす必要はない。
 しかしCardWirthのゲーム音楽とぞくにいうコンシューマ系ゲーム音楽はちがう。コンシューマゲームは常に判断が二点以上の脳をつかい、それを妨げるメロディをつかってはいけない。しかしカードワースは、判断がいっこいっこカードで規格されている。アクセルを踏みながらブレーキ、アクセルを踏みながら加速という、ながら、を用いた操縦がない。この頭に、ながらをおくと、コンシューマーゲームに徹するゲーム音楽が必要となる。
 だがカードワースは判断が一次元規格なのだ。だからこれができる。声歌のようなメロディのゲーム音楽。一個一個判断をカードがわけている。フェンシングの突きみたいに、アウト・オブ・ソクチャ、視野を一回放し、突く、視野を一回放し、突く。この動作に、まあフェンシングはこれだけじゃないが、カードワースはこれだけの脳思考と枠組みをいえばそうなので、むしろ演出の個性化にむけて映画のようなことをしていい。だから普通のゲーム音楽じゃないのだ。しかし、カードワースのゲーム音楽家が、一般のゲーム音楽の領域で仕事をもらえるのに四苦八苦する話をきく。やはり脳を切り替えるのがむずかしいのだろう。ゲーム音楽、声歌音楽、カードワース音楽、どれも他ジャンルにきかしがにくい。
 そしてmp3とmid、どっちが強いという番付だが、本当のはなしをいうと、メロディの強さをうったえるならmidだと思う。エディタ音圧上げの威力だ。また高級スピーカーで考えるなら、mp3はくもる。だから特殊な音を出したいだけじゃなかったら、midだ。midのほうが、つよい感情勝負はマージな線で勝つので、正道はmid、裏拳はmp3といったところか。

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